酒船石は、長さ5.3m、幅2.3m、暑さ1mの扁平な花崗岩。両サイドに石を割るためにいれた楔穴が見られることから、元は円形に近かったと思われる。酒の醸造に使われたとか、油をしぼったとか、ゾロアスター教の密議に使う薬の調合の道具であるなどと諸説あるが、この周辺の遺構に水を引くための土管や石樋が見つかり、庭園施設の一部分である可能性が高くなった。
2000年(平成12)、酒船石のある丘陵の北裾で、亀形石造物、小判形石造物が見つかった。造形的に優れたものであり、組み合わせて導水施設となっている。谷部分に造られていること、実用的でないことなどから考えて、おそらく何らかの祭祀が行われていたと考えられる。
この丘陵一帯に広がる遺跡を「酒船石遺跡」と呼び、『日本書紀』に記されている、斉明天皇の両槻宮(ふたつきのみや)と考えられる。
奈良県高市郡明日香村岡